理事長挨拶

「情けは人のためならず」の後には「めぐりめぐって己(おの)がため」が続きます。人に情けをかけることは、相手のためになるだけではなく、めぐりめぐって自分や自分の家族に良い結果として返ってくるという意味ですが、このことわざは正に私たちの財団の活動と共感するものです。

当財団は、臓器移植に関する正しい理解の促進と移植医療の普及・啓発、更に、腎臓機能障害者に対して腎臓移植に関する知識の普及・啓発と、腎臓移植の推進に関する事業を行い、県民の医療の向上に資し、福祉の増進に寄与することを目的として、昭和61年8月5日に財団法人山梨県腎バンクとして設立されました。腎臓移植を行うためには、本県において腎臓のあっせん業を認可される機関が必要であり、その事業を行う法人の設立要請が奉仕団体であるライオンズクラブにあったことから始まりました。そのため、山梨県内の約35のライオンズクラブの組織であるライオンズクラブオール山梨は、県、市町村、県内のライオンズクラブより各1000万円ずつの資金を募り、これらを基本財産として上記財団法人が設立されたのです。

以降、平成12年6月1日に財団法人山梨県臓器移植推進財団と名称を変更し、さらに平成23年4月1日に公益財団法人に移行しました。

 これまでの取り組みとしては、臓器提供意思表示カードの普及や移植に関する講演・セミナー、シンポジウムの開催。更には医療従事者との連携強化など、多岐に渡る活動を展開してまいりました。臓器移植は命をつなぐ医療であり、提供者と移植希望者、そしてその家族の深い想いに支えられています。私たちはその尊い意思を社会全体で支え、移植医療がより円滑に行われる環境づくりを目指しています。

 今後は、ICTの活用による情報提供の高度化や、若年層へのアプローチ強化等、臓器移植が「特別な医療」ではなく、「選択肢のひとつ」として自然に受け入れられる社会の実現に向けて一歩一歩着実に歩みを進めてまいります。

しかし、現在これらの運営や事業には県やライオンズクラブからの補助金、また、個人や法人からの寄附金、賛助会費、基本財産の利息などの収入を充てておりますが、長く続く低金利時代により基本財産の利息では運営が大変厳しく、多くの寄付金や賛助金に頼らなければならないのが現実であります。末筆にて大変恐縮ですが、今後もさらに多くの方、多くの法人にご支援をいただけますようお願い申し上げご挨拶とさせていただきます。

公益財団法人 山梨県臓器移植推進財団                        理事長 中 澤 一 浩